井戸:私は東京ポートシティ竹芝が昨年竣工する以前より、オープンに向けて建物の開発や工事の進捗管理、内装・外装デザインなどのハード面を担当していました。また、サイネージやタッチパネルについてはシステム構築を推進しました。
野口:私は建物全体の運営管理を担当しています。サイネージやタッチパネルについては導入時は運営目線でのコンテンツの構成・確認を行いました。オープン後はコンテンツ更新などを主に担当しています。
井戸:東京ポートシティ竹芝は、「デジタル×コンテンツ」を軸に都市型スマートシティを実現するため、HPやIoT活用には注力しようと決めていました。そのため、サイネージ自体も開発段階で30台以上付けることを決めていました。館内にはホールがあり、8階にはシェアオフィスやスタジオなど起業やビジネス発展支援の構想もあったので、情報発信する受け皿として特にHPとサイネージとの連携は大事でした。いかにコンテンツ更新が楽な仕組みを作るかが一番の課題でしたね。また、HPは能動的に見ないといけませんが、サイネージは来館者が受動的に見られるので、オフィスワーカーがエレベーターに乗るときや、食事するためにお店を探すときにも何か新しい情報をキャッチできるようにしたいと考えました。
井戸:「デジタル×コンテンツ」という特性もあり、このビル自体を実証実験の場として活用し、利用者に「このビルすごいね」と思ってもらいたかった。そのためには、リアルタイムで得た情報をただ発信するだけでは新しさがない。そこで、そのデータをデジタルアートとしてデザインし、サイネージで配信してほしいと依頼しました。その際提案された、HPやサイネージに流すコンテンツがすごく良かったんです。こちらの期待に見事応えてくれましたね。
井戸:8階のクリエイションフロアの廊下は全長76mもあります。ここは特にクリエイティブな人が集まるフロアだったので、何かひらめきが生まれるようなアートを演出したかった。そこでPDCさんにお願いして、「未来の竹芝」というテーマでご提案いただき実現できました。
野口:東京湾からの海風をイメージしたウォールアートにプロジェクションマッピングが投影され、未来の竹芝の街並みが描かれています。ビル内にアートや絵を飾るというのはよくありますが、アートとデジタルを掛け合わせた表現はめずらしいので立ち止まって見てくれる方が多いです。来館者が「最先端な表現方法だね」と興味を持っていただけるのがうれしいですね。
井戸:私は実現したいイメージを伝えただけなので、PDCさんは苦労されたと思います(笑)いかに簡単にできるかはしつこく要望を出していましたから。
野口:9月のオープンに向けて5月くらいから実務運用の仕組みを検討し始めました。主にCMS(コンテンツマネジメントシステム)の機能をチェックしたり、サイネージで放映するコンテンツの入稿データを確認していました。オープン以降は、交通情報、天気情報、館内マップといったコンテンツの番組表の改定や、イベント情報の更新をしていました。これも下層階と中層階、高層階では必要とする情報が違うので、場所に応じてPDCさんに構成していただきました。
野口:他社のシステムは、出来ることが多い分操作も複雑で逆にやりにくい。でも、PDCさんのシステムは洗練されていて、必要十分箇所のみ操作できる仕組みになっている。バランスが良く、簡単で使いやすい仕様なんです。私は最初、サイネージに詳しくないため、運用や更新が不安でしたが、マニュアルをオリジナルで作っていただいたためオープンから今まで特にトラブルなく運用できています。ちなみに、そのマニュアルは今も運営チームのバイブルになっています。初めてでも見れば触れるようになっているのでありがたいですね。施設運営者だけでなく店舗テナントも個々に情報を簡単に更新できる仕組みになっています。その際も、権限に合わせて更新範囲も変更できるため、安全かつ効率的に管理ができます。さらにPDCさんは日常の対応がスピーディで丁寧。1聞いたら10返してくれるので、結果やり取りも少なくて済む。そういうところも非常に満足しています。
野口:東京ポートシティ竹芝のサイネージの大きな特徴は、混雑状況の可視化です。店舗は5段階で可視化して告知することができます。そのため、来館した人はお店の情報と共に混雑度が一目でわかる。これはとても喜んでいただいていますね。また同じ情報をHPやタッチパネルでも見られるので、見落としても自分で情報を仕入れることができる。この辺のユーザー目線が特にいいという声をいただいています。視察で来られた、地方自治体の方や都市開発・不動産関係者の評価も高い。そういった外部の方の声は、我々としても一番うれしいですね。
井戸:ここもPDCさんが苦労されたと思います。(笑)雨が降ったというリアルタイム情報を検知すると、今まで流れていた情報から強制的にチャンネルを切り替え、「雨が降ってます。お茶しませんか」という情報に連携させ割引クーポンが発券されます。
井戸:そうですね。当社では、他の施設運営もやってますが、情報更新の効率性、情報の活用性など、全般的に見てコストパフォーマンスは非常に良かった。
井戸:サイネージの前に立った人の性別・年代に合わせたコンテンツを配信したいと思います。また、人流データをマーケティングデータとして集積して活用したいと考えています。
井戸:当時我々はコロナが来るなんて考えていなかったわけです。当初はエレベータ-の運用効率を上げるために、サイネージを利用してより多くの人を入る工夫をするようにお願いしていた。でも今は発想が逆で、いかに適切な間隔を空けて密を防ぐかになっている。これはリアルタイムデータを取っていたからこそできることですね。
野口:イベント内容と想定人数を関係者に知らせることができます。この施設はホール、スタジオ、展示場があるため、イベントによって館内の集客状況が全く異なります。この情報を見ればイベントに合わせて、例えば運営側は警備を増やす、店側は想定集客数に合わせてオペレーションの調整をするなどの柔軟な事前準備ができます。当初仕様には入っていないものでしたが、PDCさんにはうまく調整していただきそれに応えていただきました。
野口:コロナの感染者状況の最新情報を外部情報と連携しながら出していくとか、コンテンツの外部連携はさらに進めていきたい。また、データ連携は課題も出てきたので適宜検証しながら必要なアップデートをしていきたいですね。店舗の混雑率の様々なデータを取得し、より高精度な分析ができたらいいなと思います。
井戸:東京ポートシティ竹芝では、リアルタイム情報、IoT対応に力を入れてやっています。この成果を当社でやっている別の事業、リゾート開発や商業施設でも使っていきたいですね。
野口:東京ポートシティ竹芝では、つねに新しいことにチャレンジしていきたいと思っています。より新しいことや面白いことをどんどんアップデートして、竹芝エリアの魅力アップ、付加価値向上につなげていきたいです。
※掲載している部署名は導入当時のものです。